土地は購入だけでなく、借地として借りて利用するケースもあります。
「この土地は借地だから相続税を払わなくてよい」と思われがちですが、実際は借地であっても相続税がかかります。

本記事では、借地や借地権割合の意味・相続税評価額の計算方法について詳しく解説します。

目次

借地権割合とは?

借地権とは、地主から借りた土地に建物を建てる権利を指します。
そして、借地権割合はひとつの土地に対して借主が持つ「借地権」と、地主が持つ「底地権」の割合です。

これら2つの割合は国税庁によって定められており、割合によって相続税評価額が変わります。

また、借地権割合は地価によって異なります。これは立地の需要や利便性に差が生じるためです。都市部の繁華街や高級住宅地などは、借地権割合が高い傾向があります。

参考:国税庁「借地権の評価

借地権割合の調べ方

ここからは、路線価図と評価倍率表を使った借地権割合の調べ方を解説します。

路線価図で調べる

路線価とは、路線に面する宅地の1平方メートルあたりの価額を表す指標です。毎年1月1日時点での土地に対する評価を基に、毎年7月1日に路線価が発表されます。

路線価は、国税庁が公表している「財産評価基準書」のページから確認できます。路線価図には数字とアルファベットが記載されており、それぞれ「1平方メートルあたりの価額」と「借地権割合」を示しています。

▼例:「215D」と記載されている土地

数値の示す内容 実際の数値
215 1平方メートルあたりの価額 215×1,000円/1㎡=215,000円
D 借地権割合 借地権割合=60%

路線価図を確認することで、容易に路線価と借地権割合を調べることができます。

参考:国税庁「路線価図の説明

さらに詳しい路線価の調べ方はこちら>>

評価倍率表で調べる

評価倍率表とは、町や地域ごとの評価倍率を示した表を指します。ほとんどの地域で路線価が設定されている一方、農村部や山間部のような地域では路線価が設定されていません。

路線価が設定されていない地域では、評価倍率を利用して相続税評価額を算出します。評価倍率表は、国税庁が公表している「財産評価基準書」のページで確認できます。

固定資産税評価額に乗ずる倍率等には、土地の利用目的ごとの倍率が記載されています。

▼例:固定資産税評価額が800万円・宅地倍率が1.1倍の土地

800万×1.1=880万円

このように評価倍率表を利用すれば、相続税評価額が算出できます。

参考:国税庁「評価倍率表(一般の土地等用)の説明

借地権割合と相続税評価額の関係

借地権を持つ借地人は、相続税を払わなければなりません。そのため、相続税額の計算には借地権が大きく関わってきます。

貸宅地における相続税評価額の計算方法

一般的な貸宅地における相続税評価額の計算方法は、以下の通りです。

自用地としての評価額(※)ー自用地としての評価額×借地権割合

(※)自用地としての評価額:現在借りている土地を自分の土地として扱った場合の評価額

▼例:自用地としての評価額が1000万円・借地権割合が60%の土地

1000万ー1000万×60%

この例における貸宅地の相続税評価額は400万円だと算出されます。

参考:国税庁「貸宅地の評価

貸家建付地における相続税評価額の計算方法

貸家建付地における相続税評価額の計算方法は、以下の通りです。

自用地としての評価額ー自用地としての評価額×借地権割合×借家権割合(※)×賃貸割合

(※)借家権割合:建物に占める借家権の割合

借家権は、マンションやアパートに住むことを認められている権利です。

また、賃貸割合とは、その建物が賃貸として利用している割合を示します。満室を100%とし、空室が増えるにつれて賃貸割合が減ります。
以下の表にある賃貸住宅の相続税評価額は以下の通りです。

▼例:自用地としての評価額が1億円であり、以下の割合が該当する土地

借地権割合 60%
借家権割合 30%(全国一律)
賃貸割合 70%

▼計算式

1億ー1億×60%×30%×70%

上記の例における相続税評価額は8740万です。この金額を減らすためには、賃貸割合を減少させないために、なるべく空室を作らないように努めなければなりません。

参考:国税庁「貸家建付地の評価

まとめ

借地であっても相続税評価額が存在することから、相続税の義務があります。土地の評価額や借地権割合は国税庁のページで容易に確認できるため、相続者やその関係者は確認しておいた方がよいでしょう。

また、貸宅地や貸家建付地などでは計算方法が異なります。
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