個人で不動産を転売しても利益は出る?違法性と利益の上げ方を理解しよう

個人の方が不動産投資によって利益を得る方法は賃貸経営が一般的ですが、不動産の転売という方法もあります。
しかし、転売と聞くと、中には不安に感じる方もいるかもしれません。
この記事では、不動産の転売が違法になるのかどうか、転売で利益を上げるためにはどういうコツがあるのかをご紹介いたします。
目次
不動産の転売には違法性があるのか
不動産の転売はその名の通り、土地や建物を購入した時の金額よりも高い価格で売却することで利益を得る方法です。
転売自体は基本的にただの売買ですので、違法になるということはありません。
賃貸経営による不動産投資でも購入した物件を最終的に売却することもありますし、投資ではない場合でも不動産を売却することになるケースはありますので、合法的な行為といえるでしょう。
考えられるとすれば、不動産の売買を繰り返し行う反復継続に該当する場合です。
反復継続は具体的に「どれくらいの頻度で売買を行ったら違法なのか?」といった明確な基準はありませんが、宅地建物取引業の免許が無いまま転売を繰り返していると、違法となってしまう可能性はあります。
ただし、あくまで個人の方が行う不動産の転売は多くても数ヶ月に一度のケースがほとんどですので、反復継続となるほどの転売はあまり現実的ではありません。
そのため、よほどのことが無い限りはそこまで慎重になる必要はなく、短期間のうちにあまりにも不動産の転売を繰り返したりすると注意が必要だということを覚えておきましょう。
不動産の転売は儲かる?
次に不動産の転売は儲かるのかですが、結論から言うと、決して簡単とは言えません。
たしかに、1990年頃まで続いた不動産バブル期には「土地ころがし」という言葉があったほどで、当時は一週間で大きな値上がりが起きることも多く、不動産の転売が盛んに行われていました。
しかし、バブルと呼ばれるような景気が終わるとともに、土地ころがしはほとんど見られなくなりました。
では、なぜ転売で儲けるのが難しいのか、以降でご説明いたします。
諸費用が大きい
不動産の転売には諸費用がかかりますが、当然ながら、その金額以上の差額を得られる取引が大前提です。
しかし、その諸費用が大きいことが転売で儲けるのが難しい理由のひとつです。
例えば、仲介手数料だけでも取引額の3%程度がかかり、その手数料は購入時も売却時も支払わなければなりません。
また、印紙税や不動産取得税、登録免許税のように一時的な支払いの税金もかかりますが、購入後にすぐ買い手が見付からない場合は不動産を所有している間の固定資産税や都市計画税も納める必要があります。
ローンの手数料等も加味すると、それだけの差額で売れる見込みがないと利益を得ることは難しくなります。
所有期間が短いと利益を上げにくい
不動産の転売では、所有期間が短いと稼ぎにくい仕組みがあります。
所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、所得税30.63%・住民税9%がかかりますが、5年を超えている場合は長期譲渡所得となり、所得税15.315%・住民税5%です。
このように、所有期間が短い場合は税率が大幅に上がるため、短期間での転売は利益を上げにくいと言えます。
この他、近年は不動産の相場変動が緩やかな傾向にありますので、短期間での大きな値上がりが起こりにくいという点も理由のひとつです。
所有期間が長いと値下がりの可能性が高い
物件の所有期間が長いと値上がりを期待できる場合がありますが、建物の経年劣化という点を考慮すると値下がりとなってしまう可能性が高いです。
そのため、築20年程度を目安に価値が下がることを念頭に置いて、計画的に転売する必要があります。
もし地価が上がったとしても、建物自体の価値が低下することで高く売れなくなり、相殺されてしまうことで結果的に利益が出ないというケースも少なくありません。
不動産の転売で利益を得るコツ
前述の通り、不動産の転売が儲かりにくいとされる要因をいくつかご紹介しましたが、見通しを持って効果的に行えれば、十分に利益を見込むことができます。
一般的に不動産の転売による利益は10%~20%と言われており、仮に相場が3,000万円の物件を2,500万円で仕入れられれば、500万円の利益が出るというイメージです。
そのためにはまず、狙い目となる不動産を見付けることが大切ですので、注目すべきポイントをいくつかご紹介いたします。
リフォームや解体も視野に入れる
更地ではなく、建物付で購入した不動産であれば、建物をリフォームして価値を高めたり、古ければ解体してから売りに出すことで、スムーズに買い手が見付かる可能性があります。
そうすることで、そのままでは売却が難しいような不動産でも、効果的に転売することができますので、投資対象となる候補の幅が広がるでしょう。
ただし、リフォームと解体はどちらも費用がかかることですので、その費用のこともあらかじめ計算に入れておきましょう。
売却以外に活用できる不動産を探す
転売する物件が土地のみであれば、コインパーキングやトランクルームとして運用することで、保有している間のコストを軽減することができます。
あくまで売却するまでの間に行える土地活用になりますが、もし転売による利益が大きくなりそうな時に売却すれば、ただ負担になってしまうということを避けられるでしょう。
信頼できる不動産業者を見付ける
不動産の転売で利益を得るためには、適切なタイミングで高く売れるようにする必要があります。
まずは相場を把握する上でも一括見積もりサイトを利用し、売却したい不動産を少しでも高く評価してくれる不動産業者を探すと良いでしょう。
また、販売活動は不動産業者に任せることになるため、数ある不動産業者の中から、信頼できる優良な業者を比較して見付けるためにも便利です。
こうした観点からも一括見積もりサイトは優れていますので、個人で不動産の売買を行う場合は特におすすめです。
建設費の相場が高くなる時期を狙う
建設の需要が高くなれば、それに伴って費用相場も高くなる傾向があります。
そうなると、新築や中古の物件相場も上がることになり、土地の価格も上昇します。
このように不動産はマーケットの変動による影響を受けて価格が上下しますので、建設費の変動を把握しておければ、転売の成功に繋げやすくなります。
建設工事費を知りたい場合は国土交通省のが公開している「建設工事費デフレーター」を参考にしましょう。
住宅ローンの金利が低い時期を狙う
住宅ローンの金利が低い時期は購入の敷居が低くなりやすく、それだけ不動産の需要が高まります。
住宅ローンは借入金額が大きいため、金利が1%変わるだけでも返済額が百万円単位で変わります。
主な目安にすべきは日本銀行の「プライムレート」で、その推移をチェックしておけば、住宅ローンの水準がわかるでしょう。
入学や転勤などの動きが多い時期を狙う
不動産のマーケットにも、動きが活発な時とそうでない時があります。
それは入学や転勤などの動きが多い時期で、1月~3月は一年の中でも特に不動産に対する需要が高まります。
また、9月~10月も同様に企業の人事異動によって需要が高まる時期だとされています。
しかし逆を言えば、それ以外の期間はマーケットが落ち着く傾向にあります。
とはいえ、今やインターネットで簡単に土地を探すことができますので、以前のような影響は大きくありません。
タイミングを見計らって転売することが大切ですので、その時々に合わせた旬の情報を仕入れておくということを覚えておきましょう。
法人を設立する
転売で利益を出すためには、法人を設立することで得られるメリットが多くあります。
個人で短期売買した場合、不動産の所得は前述の通り短期譲渡所得として課税の対象となりますが、法人の場合だと利益に対して法人税が課税されます。
中小企業なら所得が800万円以下の法人税率は所得税15%、住民税5%となります。
また、事業の所得がマイナスの場合、不動産の所得と合算することになるので、税金を抑えることも可能となります。
不動産の転売は金額が大きい取引となる分、少しでも節税することが利益を多く残すポイントとなります。
そのためには、初めの会社設立に費用はかかるものの、長い目で見た場合には起業した方がメリットになることが多いです。
不動産の転売で資産形成を目指そう
不動産の転売で利益を上げるのは簡単とは言えませんが、しっかりとした見通しを持って行えれば、十分に利益を得られる投資方法と言えます。
例えば、元々は不動産業界にお勤めだった方が別の業種に転職したものの、業界の経験から不動産に詳しいため、不動産の転売に着手するなど、様々なケースが考えられます。
値上がりしやすい不動産を紹介してくれる業者を探すなど、計画的な道筋を立てて、不動産の転売による資産形成を実現しましょう。
この記事の監修者
- 株式会社ビジネスクルー
- 代表取締役 浅山 亮二
- 2007年10月に株式会社ビジネスクルーを設立。
近畿一円を中心に、個人向け・事業者向け・不動産業者向けに不動産を担保とする融資サービスを提供。
貸金業務取扱主任者及び宅地建物取引士の資格を保有。