リバースモーゲージと不動産担保ローンは、「不動産を担保に融資を受ける」という点では同じです。
「では、なにが違うのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
リバースモーゲージと不動産担保ローンは融資の仕方や目的に大きな違いがあります。
それを知ることで、用途に応じてどちらを利用すればいいのか判断が付きやすくなるでしょう。
今回はリバースモーゲージと不動産担保ローン、それぞれの特徴や違いを解説いたします。

目次

自由度の高い不動産担保ローン

不動産担保ローンとは、自宅など保有している不動産を担保として金融機関から融資を受けるサービスです。
担保となる不動産は、一戸建ての自宅のほか、マンションや借地権付建物なども利用できます。
担保にした不動産の所有権が移ることはなく、借り入れができる金額の目安は不動産の評価値の7~8割程度が一般的です。
融資の形は一括借入となり、例えば、評価額1000万円の不動産の場合、700万円~800万円が一度に融資されるのです。

不動産担保ローンは年齢や所得の制限は緩く、使い道も比較的自由なのが大きな特徴といえます。
新しく事業を拡大する際の資金にしても、生活費の補填に使っても構いません。
毎月の返済は利息のみ、もしくは利息と元金を返済していきます。
完済すれば不動産はそのまま残りますが、返済できなければ担保にした不動産を売却し、その代金で返済することになるという点は覚えておきましょう。

不動産売却時に一括返済するリバースモーゲージローン

リバースモーゲージは、不動産を担保として金融機関から融資を受けるという点では不動産担保ローンと同じです。
しかし、リバースモーゲージは高齢者や年金生活者が生活資金を得ることを目的として販売されている金融商品の為、利用できる人の年齢や使い道に制限があります。
銀行によっては商品を利用できるのは60歳以上の人と明記しているところもあるのです。

また、リバースモーゲージの場合、使い道も生活費の補填やリフォームなどに限られています。
例えば、子供の教育資金に充てるためにリバースモーゲージを利用することはできません。
また、融資を受けれるのは物件の評価額の5割程度で、毎年評価額の見直しが行われます。
さらに、融資上限枠内の分割借入れという形で借入が行われるのも、不動産担保ローンとの大きな違いです。
一例をあげると、評価額1千万円の不動産を担保とし、500万円の融資を受けられたのなら、それを月10万円づつ50ヶ月に渡って借りるといった形になります。

その代わり、月々の返済は利息分だけです。
また、リバースモーゲージの場合、返済期間は不動産所有者が死亡するまでと定められており、所有者が死亡したら不動産を売却して借入れしたお金を返済します。
そのため、融資を受ける際は不動産を相続する権利がある人の同意も必要となります。

共通点と相違点

前述したように、不動産担保ローンとリバースモーゲージは不動産を担保に融資を受けるという点では共通しています。
しかし、リバースモーゲージは利用できる年齢や融資されたお金の使い道に限りがあり、融資可能な金額も不動産担保ローンより低めです。
その一方で、月々の返済額が少なく、不動産の所有者が死亡するまで返済し続けていくことができます。
そのため、「年金だけでは生活費が足りない」という人や「自宅をリフォームするのにまとまったお金が欲しいが、高齢のために融資が受けにくい」という人に適した商品です。

一方、不動産担保ローンは年齢や所得の制限が少なく、融資されたお金の使い道も自由度が高くなっています。
「新しく事業を拡大するので、会社の土地を担保に資金を調達したい」という人などに向いていると言えるでしょう。

用途によって大きく異なる2つのローン

不動産担保ローンとリバースモーゲージは比べてみると違いがより分かりやすくなります。
不動産を所有しており、それを担保に融資を受けて事業の拡大や生活資金の補填などに使いたいという場合は不動産担保ローンがおすすめです。
一方、不動産を所有している高齢者が死後に不動産を手放していいのであれば、生活資金の補填や、介護費用を目的にリバースモーゲージを利用すればメリットが大きいでしょう。