不動産担保ローンの金利はどの程度?基礎知識と低金利で借りるコツを紹介

不動産担保ローンも含め、ローンには様々な種類のローンが存在します。また、ローンの種類や資金の使い道によって適用される金利は変わってきます。ローンを利用する側にとってはこの金利は低い方が有利です。今回の記事では、不動産担保ローンにかかる金利の程度と可能な限り低金利で借りる方法を紹介いたします。
目次
不動産担保ローンに関する基礎知識
不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として融資を受けることが出来るローンのことです。融資実行時、本人やその親族が所有する不動産を担保とするため、返済が滞った場合でも貸し手側に、一定の元本保全がされます。そのため、貸し手にとっては比較的低リスクな契約になるため、多くの場合、金利は低めに設定されています。
金利には変動金利と固定金利の2種類があり、変動金利の方が金利が低い分、元金が速く減っていくため、多くの人に選ばれています。ただし、固定金利は金利が高くなるものの、返済計画が立てやすいという利点があります。
銀行系とノンバンクでは金利は違う?
ノンバンクとは、銀行以外の金融機関で主に融資を行う金融業者のことです。
銀行以外でローンを組むことが不安だという意見もあるでしょう。しかしノンバンクには銀行で借りるローンには無い、いくつかの利点があり、あえてこちらを選ぶ人も多くいます。
銀行系不動産担保ローンの金利相場
銀行での不動産担保ローン手続きは、ノンバンクの物に比べて手続きの際に提出する資料が多く審査が厳しいといえます。その上、審査から融資実行までに時間がかかります。これは銀行の審査の後、保証協会の審査も入るためです。
ただし、銀行でローンを組むことにはメリットもあります。一般的な銀行の不動産担保ローン金利は約2%から6%程度と、比較的低めです。そのため、ノンバンクに比べて少ない負担でローンを借りられます。
ノンバンク系不動産担保ローンの金利相場
ノンバンクの不動産担保ローンでは不動産の評価が高く設定されやすく、評価額に銀行と比べて1.5倍以上差がつくこともあります。これは、銀行は路線価で評価を決定するのに対し、ノンバンクの場合は実勢価格に近い価格を評価に用いるためです。また、借りるときの審査が緩めなほか、申込みの受付や審査なども自社で行うため審査に時間がかかりません。
ただし、ノンバンクで借りることのデメリットとして、金利は7.0%から15.0%と銀行の金利よりも高めです。また、自宅を担保にする場合は総量規制の対象になる場合があります。
銀行系とノンバンク系の違い
銀行 | ノンバンク | |
金利 | 低め | 高め |
手続きから実行まで | 遅め | 早め |
不動産評価 | 低いことが多い | 高いことが多い |
審査 | 厳しい | 緩い |
総量規制 | かからない | かかる |
不動産担保ローンの金利は何に影響される
ローンの金利はその時々で変化し、「年○%~×%」と幅を持たせて表記されているものがよく見られます。ここでは、実際にローンの金利を決定する際の基準について解説します。
信用力に応じて変動する
信用力(返済能力)は、不動産担保ローンの金利を決める大きな要因の1つです。返済能力が高い人が借りる場合には低金利となり、返済能力が低い人が借りる場合は金利が高くなる、または借入の審査が通らない、となります。信用力とは返済能力、主に調査される項目は個人であれば収入、法人であれば売り上げや利益になります。ただし、ただ収入や利益が高ければよいというわけではなく、借入金額に対して返済する収入・利益が十分に確保されているかどうかが判断基準となってきます。
借入額に応じて変動する
金利は借りる側の信用力だけではなく、借入額によっても増減します。一般的に、借入額が多い方が金利は低くなる傾向があります。収入に対して返済額が高いときは、返済が滞る可能性が高いと見なされるため、可能な限り割合を低く抑えるようにしましょう。生活費やその他の経費などを踏まえ余裕を持った返済が可能かどうかを確認し、もし返済が難しそうだと判断した場合は、借入額の減額やローンの形式を再検討したりと、ローンの運用について見直す必要があります。
担保の価値に応じて変動する
担保にする不動産の価値が高ければ、利用限度額は高くなり、金利は低くなります。
不動産は、同じ面積で同じ道路に面しているものが2つある場合、それぞれの土地の形状や間口の広さによっても評価額が変動します。担保評価では実勢価格を用いて算出しますが、その地域の注目度や人口なども踏まえて、総合的に判断することが一般的です。
担保とする不動産の近くに商業施設やスーパーなどができる予定があるというような、所有者にしか分からない、地価に関わりがありそうな情報があるときは、担当者に伝えると評価額が変化する可能性があります。
担保順位に応じて変動する
担保順位とは、簡単にいうと不動産を売却することになったときに何番目に返済を受けられるかの順位です。この順位が低ければ金利が高くなる傾向にあります。
金融機関にとって担保順位は、保全に関わるため、非常に重要です。そのため、ローンを借りる金融機関次第では、担保順位が第一抵当であることを融資の条件としているところもあります。第二順位以下である場合は条件面で第一順位の場合と差をつけられることが一般的です。
設定された融資期間に応じて変動する
長い期間の融資は金融機関側のリスクが伴うため、一般的には融資期間が長ければそれに応じて金利は高くなります。
固定金利で長期のローンを利用している場合は変動金利と比べると金利は高くなりますが、その反面、その後市場金利が上昇した場合でも最初に設定された返済金額が変わらないというメリットがあります。一方で、変動金利で借りる場合は借り入れ時の金利が固定金利よりも低くなる反面、後になって市場金利が上昇した場合、返済金額が増加するというデメリットがあります。
不動産担保ローンを低金利で借りるには?
ここまでで、不動産担保ローンの基礎知識と、金利を決める要因を紹介してきました。ここからはそれらを踏まえて、不動産担保ローンを低金利で借りたい場合に気を付けたいポイントを紹介します。
事業としての信頼性を高める
不動産担保ローンは、資金使途の違いによって呼び方や金利が変化します。例えば住宅ローンと不動産投資ローンなら、金利が低いのは前者です。資金使途の縛りがきつければきついほど、金利は低くなるため、借入時に資金使途をしっかりと伝えることで、金利が下がる可能性があります。
不動産担保ローンの金利を少しでも抑えたい場合は、事業内容を明確にした資料を提供し、信頼性を高めましょう。
不動産の担保価値を高める
不動産評価額(担保評価額)は金利の判定に大きく関わる要因です。一般的に不動産評価額が高ければ高いほど借り入れ金額も大きくできる上、金利は低くできます。そのため、リフォームや手入れなどで物件を最高の状態に保ち、価値を高めておくことで、低金利でローンを借りられる可能性が高まります。
不動産担保ローンを利用する予定がある人、またはその可能性がある人は所有する不動産の状態について気にかけておくとよいでしょう。
いくつかのローン会社から相見積もりを取る
いくつかのローン会社の金利を比較し、最も金利が低い所で契約すれば、負担を抑えて不動産担保ローンを利用できます。会社を比較するときは、長期間で見た場合での支払金額を抑えたいのか、ひとまず借入時の一時的な出費を抑えたいのかによって見るべき点は異なります。そのため、費用を比較する際には金利の高低だけでなく、事務手続きにかかる手数料や保証料、登記代などほかの費用も同時に確認するとよいでしょう。
借入期間について相談する
不動産担保ローンでは、融資期間によって、金利に差が出る場合があります。何故なら、融資をする金融機関の資金調達費用、すなわち金融機関が借り入れをするときの金利が変動するリスクを、金融機関が長期間にわたって負担することになるためです。
ローンの利用期間を調整できる場合は、契約前に借入期間について相談してみましょう。銀行からの融資を受けやすい時期が存在する場合もあるため、タイミングによっては金利を抑えてローンを借りられる可能性があります。
まとめ
不動産担保ローンの基礎知識と、低金利で利用するためのポイントを紹介しました。
金利を決定する要因である不動産評価にはコントロールできない外部要因も絡みますが、今回の記事によって金利決定の要因について理解し、ローンを検討する際に役立ててください。
この記事の監修者
- 株式会社ビジネスクルー
- 代表取締役 浅山 亮二
- 2007年10月に株式会社ビジネスクルーを設立。
近畿一円を中心に、個人向け・事業者向け・不動産業者向けに不動産を担保とする融資サービスを提供。
貸金業務取扱主任者及び宅地建物取引士の資格を保有。