不動産相続にかかる税金の計算と対策の仕方

資産を不動産にすることで相続税の節税対策になることは知られていますが、相続が発生するまではあなた自身にとってあまり身近に感じられないのではないでしょうか。
この記事では、相続で不動産にかかる税金がどのようにして決まるのかを計算方法と合わせてご紹介します。
節税対策の方法についても解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産にかかる相続税は?
相続では、現預金などの財産を不動産にすると節税対策になると言われていますが、それは課税対象となる不動産の評価方法に理由があるからです。
相続が発生した場合、「基礎控除額」を超えた相続財産の額(課税遺産総額)に対して相続税が課税される仕組みになっています。
不動産の相続税を見ていく前に、まずは相続税の計算方法について確認しておきましょう。
相続税の計算は、次のような計算式となります。
相続税=(全ての相続財産額-基礎控除額)×相続税率
不動産は評価額によって課税価格が決まる
現預金を相続するよりも不動産を相続する方が節税になると言われているのは、不動産が時価ではなく路線価や固定資産税評価額等を元に計算されるためです。
不動産は土地と建物に分けて考え、土地は路線価、建物は一般的には固定資産税評価額によって決まります。
路線価とは道路に面する宅地の1㎡あたりの価額で路線価図から確認することが可能です。
相続する土地の面積に対して路線価を掛けることで評価額がわかります。
相続における土地の評価額は公示価格の80%程度になるのが一般的です。
また、開口が狭い土地や私道に隣接している土地などは補正が行われ、もう少し低い評価額になることもあります。
建物の場合には、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
建物の固定資産税評価額は、構造にもよりますが、建築費用の50%~60%相当額です。
また、ご自身や家族の居住用として使用していた建物の場合にはこの評価額がそのまま適用されますが、他人に賃貸している場合は貸家として評価されるのでさらに評価額が下がります。
例えば借家権割合が30%で満室稼働の場合、貸家の評価減割合は借家権割合30%×賃貸割合100%=30%となり、建築費用の60%よりさらに30%の評価減になりますので、評価は42%となります。
不動産相続のときに利用できる節税対策
不動産相続では、評価額に応じて相続税を納める必要がない場合もあります。
それは節税対策として、特例を適用できることがあるからです。
最も典型的なのが、小規模宅地等の特例です。
小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす土地については50%~80%も評価額を減額、すなわち相続税の課税対象額を減らす特例です。
とても大きな節税になりますので、この小規模宅地等の特例が適用できるか否かが相続税を節税するためには重要なポイントになります。
さらにこの小規模宅地等の特例には、「居住用」「事業用」「貸付事業用」という3つの種類があり、被相続人が居住用に使用していた場合には、330㎡以下の部分について80%減額するというものです。
賃貸経営に使用していた場合は貸している相手によって特例の内容が異なりますが、基本的には200㎡以下の部分について50%の評価額になります。
賃貸目的ではなく、事業用に用いていた土地の場合には400㎡以下の部分に対して80%の減額が適用されます。
不動産にすれば相続税は減らしやすい
相続税を節税するには相続財産(特に土地や建物)を正しく評価することや、特例等を適用させることが必要不可欠です。
現預金などを不動産に変えることによって相続税を節税できる可能性は高まりますが、不動産だからこそ難しいこともあります。
相続税に対する理解も深まったかと思いますが、正しく申告することが困難な場合は相続税を専門に取扱う税理士にご相談することをお勧めします。
この記事が相続税の節税や申告時に参考になれば幸いです。
この記事の監修者
- 株式会社ビジネスクルー
- 代表取締役 浅山 亮二
- 2007年10月に株式会社ビジネスクルーを設立。
近畿一円を中心に、個人向け・事業者向け・不動産業者向けに不動産を担保とする融資サービスを提供。
貸金業務取扱主任者及び宅地建物取引士の資格を保有。