不動産鑑定と査定との違いを解説|それぞれの費用相場とは?

「不動産価値」は、土地や住宅を相続する、または財産分与を行うなど不動産を売却する際に、必ず調べておかなければなりません。
その不動産価値を調べる方法は「不動産鑑定」と「不動産査定」の2種類です。どちらの方法を使えばいいのか、どのように依頼すればいいのか、あるいは費用を抑えられるのはどちらかなど困惑される方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、不動産鑑定と不動産査定の相違点や費用について解説します。
目次
不動産鑑定とは
不動産鑑定とは、不動産鑑定士が国土交通省に規定である「不動産鑑定評価基準」に従って、正確に不動産の評価額を算定することです。
また、不動産鑑定にも公的目的で利用される「不動産鑑定」と、公的な目的として利用しない「簡易不動産鑑定」の2種類あり、どちらの鑑定も不動産鑑定士によって「不動産鑑定書」が作成されます。しかし、簡易不動産鑑定は簡易化された内容のため、不動産鑑定士事務所によって異なることがあり注意しなければなりません。
不動産鑑定を必要とするケース
個人のお客様で不動産鑑定が必要となるケースは、以下のとおりです。不動産に関する納税や裁判の場面においては、不動産鑑定書が必要です。
- 相続や離婚時の財産分与を行う時
- 相続税の申告で土地評価額を把握する時
- 生前贈与を行う時
- 負担付き贈与を行う時
- 代償分割の価格決定の時
- 遺留分減殺請求を行う時
不動産鑑定の依頼手順
不動産鑑定を依頼するためには、まず不動産鑑定事務所を探さなければなりません。複数の事務所に見積もりを依頼し、実績・費用・ニーズに対応できるかなどを基準に選んでください。
ニーズに適した事務所の決定後、委任契約を結びます。その後、鑑定に関するさまざまな書類が必要ですが、基本的に「納税通知書」以外の大半は事務所に一任することができます。鑑定の調査期間は、事務所によって異なりますがおよそ1か月程度の目安にしてください。
不動産鑑定にかかる費用
不動産鑑定の費用に関しては、所有されている不動産の種類によって異なります。さらに、鑑定する物件の規模によっても、調査にかかる時間や作業量が増えるために費用に変動が生じるのです。以下は、不動産鑑定事務所による一般的な不動産鑑定費用相場を示しています。
土地のみ | 土地と建物(戸建て) | マンション(一室) | |
不動産評価額 〜1,000万円以下 | 20万円前後 | 25万円前後 | 30万円前後 |
不動産評価額 〜5,000万円以下 | 25〜30万円 | 30〜50万円 | 60〜70万円 |
不動産評価額 〜1億円以下 | 30〜40万円 | 50〜60万円 | 70〜85万円 |
参考:国土交通省「不動産鑑定評価基準等」
不動産鑑定における注意点
不動産鑑定における注意点としては、先述にもあるとおり不動産鑑定書の作成費用が高額な点です。しかし、納税や裁判など公的に正確な不動産価値を知る必要がある場合は、不動産鑑定を受けなければなりません。また、鑑定を受けるまでには1か月程度の時間を要することにも留意しておいてください。
しかし、正式書類の発行は必要なく「所有不動産の価値を知りたい」という方は、簡易不動産鑑定が適切でしょう。「簡易鑑定」であれば、正式な不動産鑑定に比べ費用も時間も削減することができます。
不動産査定は無料?
不動産査定は不動産会社が近隣の不動産相場をもとに、不動産価値を判定するサービスです。無料で利用できる手軽なサービスですが、不動産鑑定に比べ信頼度には劣ります。また「不動産査定書」の発行を依頼することもできますが、「不動産査定書」には法的な効力がありません。そのため、裁判所や税務署に提示しても不動産証明として認定されることはありません。
まとめ
正式な不動産鑑定は、国家資格を所有した不動産鑑定士によって法律に基づいた調査が実施されます。そのため、信頼性が非常に高く法的効力もあります。一方、不動産査定は法的な責任のない不動産業者によるサービスの一環です。
不動産価値を知りたいとき、公的な書類の必要性など自身のニーズを再確認する必要があります。また、実際に不動産鑑定が必要となった場合は、信頼できる不動産鑑定士に依頼してください。不動産鑑定の費用相場などを理解しておけば、手続きもスムーズに進むことでしょう。
この記事の監修者
- 株式会社ビジネスクルー
- 代表取締役 浅山 亮二
- 2007年10月に株式会社ビジネスクルーを設立。
近畿一円を中心に、個人向け・事業者向け・不動産業者向けに不動産を担保とする融資サービスを提供。
貸金業務取扱主任者及び宅地建物取引士の資格を保有。