土地は、ただ持っているだけでは固定資産税のかかるマイナスの資産となります。
そのため、相続して使っていない土地などは土地活用を行って収益を得られるようにし、プラスの資産とすることで本当の意味での資産となります。
特に空き地の場合は建物がある場合に比べて3倍~4倍もの固定資産税がかかるほか、建物があっても空き家のまま放置すると、更地と同じ固定資産税を課されることもあるため、所有している資産は積極的に土地活用を行い、収益を得られる体制を作ることが大切です。
この記事では、そんな土地活用の有効な方法についてご紹介いたします。

目次

土地の特徴によって一番向いている活用方法を探そう

土地にはそれぞれ特徴があるため、立地などの特徴に合った活用方法を考えなければなりません。
例えば、駅に近い立地の良い住宅街として人気があるエリアであれば、賃貸アパートや賃貸マンションを建てて収益を確保するのもひとつの手ですし、一戸建てを建てたい買主に土地をそのまま売却することも可能です。

もし入居者が望めない地域であれば、初期投資の少ない駐車場経営もおすすめです。
車の所有者が多いエリアは特に月極駐車場が向いており、ショッピングモールや娯楽施設の近くの土地は時間貸のコインパーキングで収益を上げることができます。

単身者や共働きの若い夫婦が住んでいる地域であれば、コインランドリーを設置して土地を活用するのも有効です。
オフィス街・住宅街・港湾の周辺では、トランクルームを設置すると多くの利用が見込めるでしょう。
住宅街や工場などから離れていて上記のような活用が望めない地域にあり、周囲に高い建物が建てられる心配のない広い土地であれば、太陽光発電のパネルを設置して収益を上げるという方法もあります。
ただし、地域によって日照時間に差があるため、広い土地ならどこでも太陽光発電が向いているわけではない点に注意しましょう。

交通量の多い国道や県道など大きな幹線道路沿いにあるロードサイドは、飲食店やコンビニなど、商業系の店舗を建てて活用することができます。
郊外でも比較的アクセスが良く環境も良い場所に土地があれば、老人ホームを建てて土地活用を行うのも良いでしょう。

このように、立地や環境に合わせて様々な土地活用の方法がありますが、向き不向きなどの特性を考えた上でどの方法にするかを検討するといいでしょう。

目的に沿った土地活用の方法とは

土地によって行うべき活用方法には違いがあることをご説明しましたが、この項目ではそれぞれの方法についてより具体的にご紹介いたします。

売却

初期投資等を行うことなく、一度に多くを得たい場合には売却が最適ですが、売却した際に利益が出ると譲渡所得として課税の対象になります。
その際の税率は所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として39.63%、5年を超える場合は長期譲渡所得として20.315%となり、短期での売却になると高い税率が課せられてしまいます。
そのため、しっかりとその部分も踏まえて計算した上で、売却するか、他の土地活用方法にて継続収入を見込むかを検討するようにしましょう。

借地(土地を貸す)

土地自体を利用したい人に貸し出し、借主にその利用方法を任せるという方法があります。
この場合、借主が借地上に建物を建てた場合、借地期間は30年以上と規定されていますので、あらかじめ注意しておきましょう。

アパート・マンション

安定した継続収入を確保したい場合には、賃貸マンション等を建てて入居者から家賃収入を得ることが有効だと言えます。
かかる経費としては固定資産税やメンテナンス費用などがあり、1年間で得た収入から経費を差し引いた所得は不動産所得として税金を納めなければなりません。
ただし、不動産所得は減価償却費や青色申告特別控除といった項目を経費として計上することができます。
これにより、結果としてマイナスとなった場合には給与所得などの他の所得と損益通算できるため、会社勤めの方が不動産経営するケースも多く見受けられます。
安定したアパート・マンションの経営を行うためには、なにより立地が重要となり、交通機関の利便性が優れていれば、満室の状態を維持できるなど、最初にかかる投資額を早々に回収でき、将来的には安定した不労収入とすることができます。

戸建て賃貸

アパートやマンションを建てるほどの大きな土地ではない場合でも、あらかじめ一軒家を建てた上で貸し出せば、継続収入を得ることが可能です。
貸し出すのは1家族分のみになりますが、空き家の期間をできるだけ少なくし、安定した賃貸収入を得ることができれば、元手から見た利益率は良い状態を維持できるでしょう。

駐車場

初期投資を少なくし、なるべく失敗のリスクもおさえた活用方法が駐車場経営です。
駐車場はローリスクかつローリターンという特徴のため、他の方法に比べて大きな収益は見込めませんが、満車に近い状態を維持することができれば、安定した継続収入を得られることには変わりありません。

トランクルーム

トランクルームはその土地に簡易倉庫を設置して貸し出す活用方法です。
この場合、専門の業者に一括借上げしてもらう方法と、自分でトランクルームを購入して設置し、管理を業者に依頼するという二通りの方法があります。
貸し出すという形態は駐車場経営に近いイメージで、オフィス街や商業施設の近くなどは高い利用率が見込めるため、立地によっては候補の1つに考えてもいいでしょう。

太陽光発電

はじめに太陽光パネルを設置する費用はかかりますが、事業用であれば20年間売電価格が固定されるため、20年先まで安定した継続収入を見込むことができます。
経営の不安定要素である顧客確保の必要性はありませんが、経年劣化によってどうしても発電効率が低下してしまったり、破損するなどのリスクが考えられるため、なるべく建物に遮られることのない郊外の広い土地での運用に向いています。

ロードサイド

幹線道路や人通りの多い道に面した土地の場合、商業系の店舗を建てることで有効にその土地を活かすことができます。
賃貸住宅とは違った意味での立地の良さが必要となりますが、店舗事業者へ土地を定期借地する事業用定期借地方式など、コンビニエンスストアに利用する場合でも高い収益を得ることができます。

コインランドリー

太陽光発電と同様に設備の初期投資が必要になりますが、比較的狭い土地でも導入しやすく、常駐管理者も不要なため、運用面は比較的手軽な活用法になります。
ただし、地域住民やエリアの特徴などを踏まえ、洗濯物を車で運ぶなどを考えると、店舗前の駐車場も数台分は確保できるくらいの余裕を見た方が良いでしょう。

老人ホーム

近年の少子高齢化に伴い、老人ホームを建てて賃料を得るという方法も有効な土地活用方法です。
施設を運営する業者が希望した施設を地主が建設し、一括借上げで運営するのが一般的とされ、20年以上の賃貸借契約が義務付けられているため、長期間にわたって安定した収入を見込むことができます。
施設を建てる上である程度の広さは必要になりますが、一括借上げという特性上、空室に悩まされることもなく、郊外にある土地でも需要のある活用法です。

サービス付き高齢者住宅

前記の老人ホームと同様の活用法になりますが、安否確認や生活相談などが受けられる高齢者向けの賃貸住宅です。
一定の要件を満たせば補助金や税制優遇を受けることもできるため、より安定した運営を見込むことができます。

賃貸併用住宅

所有者が住む部分と賃借人が住む部分を分けた一軒の建物のことで、将来的に二世帯住宅としても活用できる方法です。
住む部分の割合が51%以上であれば、アパートローンよりも低い金利で借りられる住宅ローンの利用も考えられるため、通常の賃貸物件よりも低いコストで運用することも可能です。

土地信託

信託会社といった土地活用のプロに土地の運用を任せ、信託受益権を得るという運用方法が一般的です。
信託受益権は土地の運用で得た利益から配当を受ける利益のことで、土地の建物は信託契約終了後にそのまま住むこともできます。
万が一、土地の運用で充分な利益が出なかった場合には、配当が受けられないこともあるため注意が必要です。

土地活用に必要な資金調達方法

売却を除く土地活用には、多かれ少なかれ初期投資等の資金が必要となり、また、その後の運用面でもコストがかかります。
せっかく土地を所有していても、自己資金が無い場合には借り入れをして資金を調達しなければ、土地活用を行うことができません。
こういった場合におすすめなのが、不動産を担保に融資を受けられる「不動産担保ローン」です。
不動産担保ローンは資金の使途に関係なく、長期的なローンも組める大変便利な資金調達方法のため、土地活用にはとても向いている借り入れ方法になります。
特にノンバンク系の場合は銀行系よりも審査が優しく、融資を受けやすいというメリットもありますので、土地活用の資金調達の際にはぜひ検討してみてはいかがでしょうか。