不動産投資のローンは固定金利と変動金利のどちらを選ぶべき?

不動産投資はその名の通り、不動産の家賃収入や購入時と売却時の価格差によって利益を得る投資方法です。
当然ながら、まずは投資を行うための不動産が必要になりますが、物件の購入代金は高額になるため、ローンを組むケースがほとんどです。
ローンを組むときには、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類がありますが、不動産投資においてはどちらを選ぶべきなのか、それぞれのメリットやデメリットを合わせてご紹介いたします。
目次
不動産投資のローンに向いているのは、固定金利?変動金利?
不動産投資は金額が大きくなるということもあり、大半の人はローンを組んで行います。
その際、金利のタイプを2つのうちから選択する必要があります。
それが、「固定金利」あるいは「変動金利」です。
特に自己資金を出来る限り抑えたい個人投資家はどちらを選ぶべきなのかと迷ってしまいがちです。
しかし、実は「こちらを選ぶべきだ」という絶対的な正解はなく、それは金融政策や景気の動向によって金利は変化するからです。
日本銀行が日本全体の景気動向を見ながら政策金利を決めるため、景気が良くなると金利は上がり、後退すると金利は下がります。
そこで、ここでは状況に合わせてどちらを選ぶと有利なのかの参考にしていただけるように、固定金利と変動金利のメリットやデメリットをまとめていきます。
固定金利はどんな金利?
固定金利とは、ローンを組んだ時から、あらかじめ決められた一定期間の間、金利を固定しておくことができる制度です。
固定金利は「固定金利期間選択型」と「全期間固定金利型」の2種類に分けられます。
前者は、初めの5年、10年などとあらかじめ選択した期間について固定金利にしておくというものです。
その期間の返済が終われば、また固定金利か変動金利かを選択することができます。
対して、後者は借入した時から完済までの全期間において金利が一定になるプランです。
では、固定金利のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
固定金利はその名の通り、一定期間は金利が固定されるというものです。
つまり、その一定期間は支払額が変動しないということであり、支払い計画を立てやすくなります。
もし、金利が上昇した場合でも金利は固定されたままのため、変動金利に比べてリスクを抑えられることがあります。
このように支払額が社会状況に影響されないため、安定した支払い状況を維持することができます。
デメリット
固定金利はリスクを負わないという特徴がありますが、その分、変動金利に比べて金利水準が高めに設定されています。
そのため、低金利で推移した場合はもちろん、金利があまり上昇しなかった場合には変動金利よりも損をしてしまうことになります。
変動金利はどんな金利?
変動金利とは、ローン期間中に定期的に金利が見直されるタイプの金利のことを言います。
金利は半年ごと(4月と10月)に短期プライムレートに応じて見直されますが、仮に金利が上昇したとしても、すぐに毎月の返済額が増えるわけではありません。
支払額の調整は5年ごとに行われるため、金利が上昇しても5年間の返済額は変わらないのです。
また、6年目からの返済額についても「125%ルール」というものがあり、金利見直し後の返済額が見直し前の返済額の1.25倍を超えないようになっています。
では、実際に変動金利のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
最大のメリットは契約時の金利が固定金利よりも低く設定されているという点です。
一般的に低金利で推移する場合は固定金利よりも利息の負担分が少なくなり、支払額を抑えることができます。
そのため、金利政策などが行われ、もし低金利が見込めそうな場合には、変動金利を選ぶと良いでしょう。
デメリット
返済期間中に金利及び返済額の見直しが行われるので、金利が上昇した場合には、固定金利よりも支払額が多くなってしまう可能性があります。
あまり考えにくいことではありますが、想定していた以上に金利が上昇してしまうと、返済が苦しくなってしまうケースもあるので注意が必要です。
不動産投資の運用には「売却」という選択肢もある
不動産投資は購入額が大きい分、長期的にローンの支払いを続けることになります。
様々なことが影響して経済状況は常に変動する可能性がありますが、数十年後の経済や金利を見通すことはもちろんできません。
不動産を長期に渡って保有した場合はキャッシュフローを得ることができますが、長期保有することには、経済情勢の影響を受けてしまうリスクもあります。
そのため、経済の見通しが立たない場合は、不動産を長期保有せずにキャピタルゲイン(売却して得られる売買差益)を得る運用も選択肢に入れると良いでしょう。
短期保有の場合は、金利水準の低い変動金利を選ぶと、有利になる可能性が高いです。
ローンを組む際には、総合的な判断が必要
近年は景気後退の影響からか、マイナス金利政策をはじめとして、金融緩和の動きが強まっています。
そこに予期せぬ新型ウイルスの影響が出たため、今後もさらに低金利政策は続いていくと予想されています。
そのため、当面の間は金利水準の低い変動金利の方が有利であるといえます。
ただし、金利タイプを決める際には、自分自身の支払い能力を客観的に捉えて、総合的に判断することが大切です。
例えば、今後10年教育費がかかる見込みなら「固定金利期間選択型」を選択し、10年間は固定金利にすると安心です。
このように利用者自身の状況と経済状況に合わせて柔軟に対応し、最善の金利タイプを選ぶのが賢明です。
それぞれの金利タイプの特徴まとめ
当然、2種類の金利タイプにはそれぞれのメリット・デメリットがあります。
固定金利は一定期間金利が変動しないため、支払額が一定となり、安定した支払い状況を維持することができます。
これに対し、変動金利は金利及び支払額の見直しが定期的に行われるというリスクはあるものの、その分、金利水準は低く設定されています。
今後、金融緩和政策が続くと予想されているため、当面は変動金利の方が有利だとされています。
しかし、現在の金利は低水準のため、将来金利が上昇することは否めません。
利用者自身の支払計画に対して、金利上昇のリスクを踏まえても有利になるかどうか、金利の変動に左右されずに安定した返済計画を立てるか、今後のライフプランを含めて検討するようにしましょう。
この記事の監修者
- 株式会社ビジネスクルー
- 代表取締役 浅山 亮二
- 2007年10月に株式会社ビジネスクルーを設立。
近畿一円を中心に、個人向け・事業者向け・不動産業者向けに不動産を担保とする融資サービスを提供。
貸金業務取扱主任者及び宅地建物取引士の資格を保有。