不動産売買には大きなお金が動くことが多く、その資金調達はなかなか大変なものです。
資金不足に陥ってしまえば、売買のチャンスを逃してしまうこともあり、不動産の取引はタイミングが重要となります。
この記事では不動産業者様に向けて、物件の売却前でもスムーズに資金調達する「つなぎ融資」とはどういった方法なのか、利用パターンやメリット・デメリットなどについてご説明いたします。

目次

つなぎ融資とはどのような特徴があるのか?

老朽化したマンションやビルの中には立地が良い物件も多く、一棟丸ごと買い取ってリノベーションし、販売するというビジネスが増えています。
このような物件は1億円を軽く超えるのが通常で、新たな付加価値を付けるなどしてそれ以上の金額で売却をするということが日常的です。
会社の自己資金が十分であれば、問題なくビジネスチャンスを得ることができますが、このような金額の大きな物件を動かすには資金を上手く回転させなければなりません。

物件を売却して資金を回収する目途が立ってはいるものの、決済前に新たな物件の購入資金が必要になった場合、上手く利用すると便利なのが「つなぎ融資」です。
例えば、売却が決まっていても買い手の都合で決済が2~3ヶ月先になるということもあるでしょう。
そんな時にもしも他に良い物件が出た場合には、「つなぎ融資」を利用してすぐに資金調達をするという方法があります。
2~3ヶ月先に決済が決まっているのであれば、その期間だけ「つなぎ融資」を使うことで、チャンスを逃すことなく売買が行えます。

つなぎ融資に適した実際の利用パターンとは?

土地を所有しているが、建築費が不足しているケース

所有している土地に戸建てなどの建売住宅を建築して利益を得たい場合、肝心の建築費が捻出できないということもあります。
このような場合にも「つなぎ融資」が便利です。
この場合はまず所有している土地を担保にして「つなぎ融資」を利用し、建築資金を調達します。
その後、実際に建物を建て、その物件の売却代金をもって「つなぎ融資」を返済するという流れになります。

売り出し中の物件がなかなか売れないケース

物件の中には、すぐに買い手がつくものもあれば、1年以上経過しても売れる目処が立たない物件もあります。
そんな時に非常に良い条件が揃った物件を見つけても、前の物件が売れないことで必要な資金が段取りできないということもあるでしょう。
特に条件の良い物件であれば、他の不動産業者が買い付けを入れてしまう可能性が高く、このままではチャンスを逃してしまうかもしれません。
こういう場合には売却できずにいる物件を担保に「つなぎ融資」を利用して資金を調達し、その好条件の物件を買い取ります。
つなぎ融資で借り入れした分の返済はどちらかの物件の売却代金で返済するということになります。

不動産担保ローンでつなぎ融資を使うメリットとデメリットは?

不動産業者が「つなぎ融資」を利用して資金調達をする場合、「ビジネスローン」または「不動産担保ローン」といった選択肢が用意されています。
その中から今回は、代表的ともいえる「不動産担保ローン」のメリットとデメリットについて解説していきます。

不動産担保ローンのメリット

融資を受ける上で問題になりやすいのは、審査が通らないということです。
銀行で何度か融資を受けて滞りなく完済しているという実績でもあれば別ですが、実際には多くの銀行では審査に厳しい傾向が見られます。
それに対してノンバンクの「不動産担保ローン」なら、通常の銀行融資よりも審査が優しい傾向にあります。
もちろん、必ずしも審査に通るということではありませんが、無担保よりも借りやすいと考えていいでしょう。
担保のほとんどは土地や建物などで価値が高いため、高額な融資が期待できるのもメリットといえます。
さらに「ビジネスローン」よりも低金利で、審査にかかる時間が比較的短いというメリットもあります。
遅くとも1週間程度で、場合によっては申し込みをした翌日に融資を受けることも可能です。

不動産担保ローンのデメリット

デメリットでいえば、不動産を所有していないと担保がないため、利用することができないということでしょう。
また、担保にしている不動産があっても、その価値が下がってしまうことがあれば追加担保を求められる可能性があります。

「つなぎ融資」で不動産売買をスムーズにする

不動産業を営んでいると資金調達が必要になることが多々出てきます。
土地を所有していても肝心の建物を建てる資金がない場合や、売り出し中の物件がなかなか売れずに目途が立たない場合には、その物件を担保に不動産担保ローンを利用した「つなぎ融資」が便利です。
このような資金調達方法を上手く活用して不動産売買をスムーズにし、効率良く利益を上げられるようにしましょう。